東京地方裁判所 平成11年(ワ)7038号・平11年(ワ)10446号 判決
主文
一 被告(反訴原告)は、原告(反訴被告)に対し、金二三〇万円及びこれに対する平成一一年二月八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 原告(反訴被告)のその余の請求を棄却する。
三 被告(反訴原告)の反訴請求を棄却する。
四 訴訟費用は、本訴、反訴を通じて被告(反訴原告)の負担とする。
五 この判決は、第一項に限り仮に執行することができる。
事実及び理由
第一請求
一 本訴
被告(反訴原告。以下「被告」という。)は、原告(反訴被告。以下「原告」という。)に対し、金二五〇万円及びこれに対する平成一一年二月八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 反訴
原告は、被告に対し、金八〇〇万円及びこれに対する平成一一年五月一四日から支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。
第二事案の概要
本件は、原告が、本訴により、共友建工株式会社(以下「共友建工」という)の貸金債務を保証するため被告と根保証契約を締結したが、右根保証契約は被告が共友建工の被告に対する従前の借金の存在をことさら隠して締結されたものであるなどとして、詐欺による取消、錯誤無効又は信義則違反を理由に被告に支払済みの金員の返還と、被告従業員の執拗かつ脅迫的な取立行為によって被った精神的苦痛に対する慰謝料の支払を求めたところ、被告が、反訴により、右根保証契約が有効に成立していることを前提に、保証債務の履行を求めた事案である(なお、反訴請求金額は、次の一、6記載の貸金合計一二〇〇万円から同7の弁済金二〇〇万円を控除した残額一〇〇〇万円の内金八〇〇万円である。)。
一 争いのない事実等
1 被告は、貸金業等を営む株式会社であり、原告は、有限会社山信建設の代表者で、共友建工の代表取締役である藤原勝己(以下「藤原」という。)とは三〇年来の友人である(甲第八号証)。
2 被告は、平成一〇年五月二二日、共友建工との間で元本極度額を金一五〇〇万円とする手形貸付取引契約を締結し(乙第一号証)、右契約に基づき、継続して共友建工に対し手形貸付けの方法による貸付けを行ってきたが、平成一一年一月初めにおける貸金残高は合計一一〇〇万円であった(乙第四号証の一、二、証人永田祐介)。
3 原告は、藤原から、平成一一年一月五日ころ、金融会社から一〇〇万円くらいを借り受けたいのでその保証をして欲しいとの依頼を受け、これを了承した(原告本人)。
4 原告は、同年一月八日、被告担当者の永田祐介(以下「永田」という。)と面談の上、共有建工を主債務者とし、保証元本極度額を一〇〇〇万円、保証期間を平成一一年一月八日から平成一六年一月七日とする保証契約書に署名、捺印し、被告との間で右内容の根保証契約(以下「本件根保証契約」という。)を締結した(乙第二号証)。
5 被告は、右同日、共友建工に対し、一〇〇万円を貸し付けた(争いがない。)。
6 平成一一年一月二二日ころ、共友建工は手形不渡りにより事実上倒産した。この時点における共友建工の被告に対する債務は、次の貸金合計一二〇〇万円であった(乙第三号証の一ないし五、第四号証の二)。
貸付日 弁済期 金額
平成一〇年一〇月一五日 平成一一年二月四日 二五〇万円
平成一〇年一一月九日 平成一一年三月二日 三〇〇万円
平成一〇年一二月八日 平成一一年四月二日 三〇〇万円
平成一一年一月八日 平成一一年五月一三日 一〇〇万円
平成一一年一月一四日 平成一一年五月一一日 二五〇万円
7 原告は、平成一一年二月八日、被告に対し、保証債務の履行として二〇〇万円を振込送金して支払った(争いがない。)。
二 争点
1 本件根保証契約の無効、取消等
(原告の主張)
(一) 詐欺による取消
(1) 被告担当者永田は、平成一一年一月八日に原告の自宅を訪れ、原告に保証関係書類を作成させた際、実際は共友建工には同日現在一一〇〇万円の貸付残高があったにもかかわらず、原告に対し、当日貸し付ける一〇〇万円以外に共友建工に対する債権はない旨述べ、かつ、保証契約書に保証元本極度額一〇〇〇万円と記載されていることについて、「今回融資するのは一〇〇万円ですが、将来貸し増しすることもあるので、一応の枠として保証枠を設定するものです。」、「最初は一〇〇万円しか融資できませんが、共友建工が一〇〇万円を返済した場合は二〇〇万円の枠まで融資でき、その二〇〇万円を返済した場合には五〇〇万円の枠まで融資できるというように、最終的に一〇〇〇万円の枠まで融資が可能になる。」旨の説明をした。原告は、右永田の説明により、共友建工には同日現在一〇〇万円の債務しか被告に負っておらず、将来的にも、右一〇〇万円を返済しなければ、更に借り増しをすることはないと思って本件根保証契約を締結したものである。原告が、共友建工の被告に対する債務について保証意思を形成するに当たっては、共友建工の経営状態は大きな判断要素になるところ、被告に対する既存債務の有無及び金額は右経営状態を判断する上で重要な事実であり、右永田の原告に対する説明は右重要な事実を偽った点で詐欺に該当する。
(2) 原告は、平成一一年二月一二日に到達した内容証明郵便で、被告に対し、本件根保証契約を詐欺を理由として取り消す旨の意思表示をした。
(二) 錯誤による無効
原告は、本件根保証契約締結の際、被告の共友建工に対する貸金債権が当日貸し付けた一〇〇万円しか存在しないと誤信していた。そして、原告は、永田に対し、被告の共友建工に対する貸金が右一〇〇万円以外にもあるなら保証契約書に印を押さない旨述べ、保証の動機を表示していた。また、原告は、永田の説明から、共友建工が被告から当日借りた一〇〇万円を返済するまでは新たな借り増しはできないとも誤信していた。しかし、右当日において、共友建工の被告に対する債務は一一〇〇万円も存在し、このことを原告が認識していれば本件根保証契約を締結しなかったのは明らかである。したがって、本件根保証契約は錯誤により無効である。
(三) 信義則違反
前記のとおり、永田は、原告に対し、共友建工の既存債務について事実と異なる説明をし、根保証契約の意味についても誤解を生じさせる説明をした。また、永田は、本件根保証契約締結の際に貸金業の規制等に関する法律一七条二項に規定する保証契約書等一切の書類を交付していない。そして、共友建工は、原告の保証により被告から一〇〇万円を借り受けてからわずか二週間後に手形不渡を出して事実上倒産しており、被告は共友建工の倒産が間近であることを知って、原告からの債権回収を意図して本件根保証契約を締結させたとしか考えられない。さらに、被告の従業員は、後記のとおり、原告に対して執拗かつ脅迫的な債権取立を行った。これらの事実からすると、仮に、本件根保証契約の詐欺取消又は錯誤無効が認められないとしても、被告が、原告に対し、保証債務の履行を請求することは信義則に反し許されない。
(被告の主張)
本件根保証契約の契約書には、原告の保証が、平成一〇年五月二二日付けの共友建工との間の約定書に基づく平成一一年一月八日から平成一六年一月七日までの間のすべての取引及び本契約日現在負担する債務を対象とする根保証であることが明記されており、永田が原告に対し、共友建工に今回の一〇〇万円以外に貸付けはないと説明することなどありえない。被告は、従業員に対して日頃から十分な研修をさせた上で業務に当たらせており、本件においても永田は原告に保証内容について十分に説明し、作成された契約書類は原告に交付している。
2 被告従業員の原告に対する返済請求が不法行為に当たるか
(原告の主張)
被告の従業員は、共友建工が倒産した翌日の平成一一年一月二三日から、原告宅に電報を打ったり、電話をかけてものすごい剣幕で一〇〇〇万円の返済を迫る等執拗に保証債務の履行を請求し、更には、夜間に原告宅を訪問し、無断で敷地内に入り、ドアをたたいたり、大声を出し、長時間原告宅に居座って強硬に返済を要求した。これらの執拗で悪質な取立行為により、原告は精神的に追いつめられ、支払義務のない二〇〇万円を被告に送金せざるを得なかった。被告従業員の右行為は債権取立の限度を超えたものであって、不法行為を構成する。右不法行為により原告が受けた精神的苦痛に対する慰謝料は五〇万円を下らない。
(被告の主張)
被告の従業員が原告に保証債務の履行請求をしたことは認めるが、その態様等については争う。
第三争点に対する判断
一 争点1について
1 甲第六ないし第八号証、第一〇号証、乙第一号証、第二号証の一、二、証人山口弘子の証言及び原告本人尋問の結果によれば、次の事実を認めることができる。
(一) 原告は、平成一一年一月五日ころ、藤原から、共友建工が金融会社から一〇〇万円くらいを借り受けるための保証を依頼され、一〇〇万円程度の保証ならかまわないと考えて、右依頼を了承し、藤原に金融会社の者を自宅に寄越すように言った。
(二) 被告従業員の永田は、同年一月八日、原告の自宅を訪れ、原告に保証人になる意思があることを確認した後、保証契約書(乙第二号証の一)の作成を求めた。原告は、右保証契約書に、共友建工と被告との間の貸付取引約定日として「平成一〇年五月二二日」、保証元本極度額として「壱阡萬円」との下書きが鉛筆でされていたことから、右「平成一〇年五月二二日」の意味を尋ねたところ、永田が右日付は被告と共友建工の最初の契約日である旨述べた。そこで、更に原告は、共友建工には今回貸す一〇〇万円以外にも貸金があるのではないかと尋ねたが、永田は、共友建工の債務は今回の一〇〇万円だけで、他には貸金はない旨を述べた。また、永田は、右保証元本極度額について、共友建工が今回の貸金を返済した場合には借り増すことができ、最終的に一〇〇〇万円まで貸す枠を示す金額である旨を原告に説明した。そこで、原告は、永田に、今回の一〇〇万円以外に貸金があるのなら判を押さない旨念を押した上で、右保証契約書に署名捺印した。
右保証契約書には、保証期間中に発生した共友建工の債務のみならず、保証契約締結日現在に同社が負担する債務も保証の対象となることが記載されていた。
(三) 原告の妻山口弘子は、原告から一〇〇万円の保証を藤原より依頼されていることを予め聞いており、右当日、永田にお茶を出した際に、本件根保証契約書に一〇〇〇万円と記載されているのを見て不安を感じ、その場で原告及び永田に一〇〇万円の保証かどうか念を押し、永田と原告との前項のやりとりも聞いていた。
(四) 共友建工が本件の借受けをしたのは、被告東京支店営業課の永田が、上司から貸付先のリストを渡されて、追加融資の案内をするように指示されたため、そのリストに載っていた共友建工の藤原に電話で追加融資の勧誘をしたことを契機とするものであり、永田は、右勧誘時から共友建工の被告に対する残債務額が一〇〇〇万円以上あることを知っていた。
(五) 原告は、平成一一年二月一二日に到達した内容証明郵便で、被告に対し、本件根保証契約を詐欺を理由として取り消す旨の意思表示をした。
2 永田は、乙第五号証(陳述書)及び証人尋問において、原告と会って本件根保証契約を締結したのは、原告の自宅ではなく、共友建工の事務所であり、その場に原告の妻弘子がいたこともない旨供述しているが、甲第六号証によれば、原告は、本件根保証契約締結から約一か月後の平成一一年二月一〇日付けで、弁護士を代理人として被告に内容証明郵便を送付しているところ、右内容証明郵便には、永田が原告の自宅を訪問して保証契約書が作成された旨の記載がされていることが認められ、原告がことさら保証契約の締結場所について虚偽の供述をする理由もないことからすると、この点についての永田の供述はにわかに採用できない。
次に、永田は、右乙第五号証及び証人尋問において、保証契約書を作成する際、原告から、保証元本極度額が一〇〇〇万円とされていることについて、「一〇〇万円の保証じゃないの」と聞かれたため、保証期間は五年間で一〇〇〇万円の枠の保証である旨の説明をしたことはあるが、その際に共友建工の既存債務の有無について原告から質問されたことはなく、永田の方から共友建工の既存債務の有無について説明したこともない旨供述している。
原告が、藤原から一〇〇万円くらいの借受けについて保証を依頼され、その程度の金額ならいいと考えて了承したことは前記認定のとおりであり、永田の供述する「一〇〇万円の保証じゃないの」と原告が問い質したということも、原告が、当時、保証額が一〇〇万円であるとの認識を有していたことを裏付けるものである。
しかし、本件の保証契約書には、共友建工と被告との間の貸付取引約定日が平成一〇年五月二二日であり、保証期間中のみならず保証契約締結日現在に共友建工が負担する債務も保証の対象となるとする記載があることは前記のとおりであるところ、原告が、永田に対し、保証契約書で保証元本極度額が一〇〇〇万円とされていることについて疑問を呈したのに対し、右一〇〇〇万円が保証の枠を示す金額であるとの説明をされたのなら、共友建工が当日借り受ける一〇〇万円以外にも被告に債務を負担していないかどうかについて原告が関心を持つのは当然であり、原告が「一〇〇万円の保証じゃないの」と質問したのに対し、単に根保証に関する一般的な説明をしただけで原告が納得し、共友建工の既存債務の有無について何らの質問もされず、永田からも何も説明しなかったというのは不自然というべきである。
そして、本件の一〇〇万円の貸付けが行われた時点において、共友建工が一一〇〇万円の債務を被告に負担していたことは前記のとおりであり、原告が本件根保証契約を締結した時点で既に同契約の保証元本極度額を超える貸付けが行われていたのであるから、原告が右事実を知った場合には保証を拒否することが容易に考えられ、これを避けるために、永田がこの点に関する原告の質問に対して右既存債務の存在を敢えて秘匿し、他に共友建工に対する貸金はない旨を述べることは十分に考えられることといわなければならない。
したがって、この点に関する永田の供述は、証人山口弘子の証言及び原告本人尋問の結果に照らして採用することができず、他に前記認定を左右するに足りる証拠はない。
3 右に認定、判断したところによれば、原告は、本件根保証契約を締結するに当たり、共友建工には同契約による保証元本極度額を超える債務が存在していたにもかかわらず、永田の言辞により、それが存在しないものと信じて同契約を締結するに至ったものであり、右既存債務の有無及び金額は共友建工の経営状況に関わる重要な事実であって、原告が右債務の存在を知っていたなら同契約を締結しなかったと考えられるから、前記認定の永田の行為は詐欺に該当し、原告のした取消の意思表示により、同契約は遡及的に無効になったと解される。
そうすると、原告のその余の主張について判断するまでもなく、本件根保証契約の履行として原告が被告に支払った二〇〇万円の返還を求める原告の請求は理由があり、本件根保証契約の履行を求める反訴請求は理由がない。
二 争点2について
1 甲第三号証の一、二、第四ないし第八号証、第一〇号証、証人山口弘子の証言及び原告本人尋問の結果によれば、次の事実を認めることができ、これを左右するに足りる証拠はない。
(一) 共友建工は、前記一〇〇万円の借受けから約二週間後の平成一一年一月二二日ころ手形不渡を出して事実上倒産したが、同月二三日、原告宛に「オオヒラマデ シキュウレンラクサレタシ」と記載された電報が届いた。これを受け取った原告の妻弘子は、ゴルフに出掛けていた原告に連絡し、原告はゴルフを途中で切り上げて昼前に帰宅した。同日午後、原告の自宅に被告管理部の大平と名乗る者から電話があり、「共友建工がつぶれたから一〇〇〇万円を直ちに返せ」と言い、原告が、保証したのは一〇〇万円だけなので一〇〇〇万円は支払えないと言うと、ものすごい剣幕で一方的に怒鳴り立てた。
(二) その後、大平から原告宅に一〇回以上の電話があり、原告が仕事上で使用している携帯電話にも何度も電話があった。そのため、原告が自宅の電話を留守番電話にしていたところ、「日栄の大平だ。電話よこせ。」などという声が何度も録音されていた。
(三) 同月二七日、「しきゅう れんらくこう ニチエイ おかもと」と記載された電報が原告宅に届けられた。
(四) 同年二月四日夜八時過ぎころ、原告の妻弘子が一人で自宅に居た際、被告の従業員が原告宅を訪れ、インターホンで原告との面談を求めた。弘子が、原告は不在である旨言うと、奥さんでもいいから話をしたいと言ったが、弘子は面談を拒絶した。その後、原告宅の留守番電話に何度か電話がかかり、原告宅の外で「山口さん」と怒鳴る声が聞こえ、更には敷地内に入って「ここは何だ」、「二階は事務所になっているみたいだ」などと話し合う声がし、「奥さん」、「山口さん」と大声で叫んだ上、二世帯住宅になっている原告宅の娘夫婦の玄関ドアを激しく叩き続けた。右従業員が帰ったのは午後九時ころであった。原告が翌日の早朝に郵便受けを見たところ、「日栄管理部岡本剛」の名刺が入っていた。また、原告の携帯電話の留守番電話には、「日栄の岡本だ。われ、何で電話せんのじゃ。しばくぞ。こら。」との伝言が入っていた。
(五) 二月五日午前八時ころ、右岡本が原告宅を訪れ、原告に面談を求めた。原告は、昨夜のように騒がれては近所迷惑になると考え、同人を自宅に上がらせたところ、岡本は、原告に対し、「俺が京都の本社に電話すればすぐに管理部の連中が来るよ」、「お宅の会社をつぶすことなんて簡単だ」、「兄弟がいるんでしょ。金がないんだったら兄弟に借りて払え」などと、強い調子で二時間以上にわたり支払を請求した。その剣幕に恐怖を感じた原告の妻弘子が「いくら払えば承知するの」と聞くと、「少なくとも二〇〇万円すぐに用意しろ」と言ったため、原告もこの事態を収めるためには二〇〇万円を支払うこともやむを得ないと考え、岡本に二〇〇万円を用意することを約束し、その場を引き取ってもらった。
(六) 原告は、その後、支払を約束した二〇〇万円を支払うべきかどうかについて、顧問税理士や、その紹介を受けた弁護士に相談し、これらの者からは二〇〇万円は支払うべきではないと助言されたが、岡本が再度自宅に来るという不安に駆られたため、同年二月八日、被告宛に二〇〇万円を振込送金した。
2 貸金業の規制等に関する法律二一条は、貸金業者は、貸金の取立てに当たって「人を威迫し又はその私生活若しくは業務の平穏を害するような言動により、その者を困惑させてはならない」と規定しているが、右に認定した被告従業員の行為は、右規定に違反して執拗かつ威迫的な取立行為を行ったものであり、これにより原告及び原告の家族等に著しい恐怖感及び不安を与えたものであるから、不法行為を構成するといわなければならない。
そして、本件における一切の事情を勘案すると、原告の受けた精神的苦痛に対する慰謝料は三〇万円とするのが相当である。
第四結論
以上によれば、原告の本訴請求は、不当利得返還請求権に基づき二〇〇万円及びこれに対する支払日である平成一一年二月八日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による利息金並びに不法行為による損害賠償請求権に基づき金三〇万円及びこれに対する不法行為後の同年二月八日から支払済みまで、民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり、被告の反訴請求は理由がない。
よって、訴訟費用の負担について民訴法六一条、六四条ただし書、仮執行宣言について同法二五九条を各適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 寺尾洋)